政府は、これまで「給付付き税額控除」と呼ばれていた制度について、新たに「所得連動給付」として制度設計を進める方針を公表しました。
「給付付き税額控除」という名称は耳にしたことがあっても、「結局どのような制度なの?」「自分は対象になるの?」「手取りは増えるの?」と疑問に感じている方も多いでしょう。
この記事では、現時点で公表されている制度案をもとに、所得連動給付の仕組みや対象者、今後の課題についてわかりやすく解説します。
所得連動給付とは?
所得連動給付とは、中低所得者への支援を目的とした新しい給付制度です。
もともとは「給付付き税額控除」という名称でしたが、現時点では税額控除は実施せず、まずは現金給付を中心とした制度となる予定です。そのため、「所得連動給付」という名称の方が制度の内容を正確に表していると言えるでしょう。
税額控除ではなく「給付金」が中心
制度名からは税金が安くなるイメージがありますが、現在の制度案では、税額控除は当面実施されず、現金給付が中心となります。
つまり、多くの方にとっては「新しい給付金制度」と考えると理解しやすいでしょう。
給付対象となる人は?
給付対象となる年収や所得額はまだ正式には決まっていません。
ただし、政府資料では以下のようなイメージが示されています。
- 一定の所得以上になると給付が開始される
- 低所得者層は一定額の給付を受けられる
- 所得が増えると給付額は徐々に減少する
- 一定以上の所得になると給付は終了する
つまり、幅広い国民を対象とする制度ではなく、主に低所得者・中低所得者向けの制度となる見込みです。

給付開始の年収は?
現在検討されている案では、給付開始ラインとして次の3案が示されています。
- 年収53万円程度(雇用保険加入水準)
- 年収74万円程度(給与所得がゼロとなる水準)
- 年収106万円程度(社会保険加入義務が発生する水準)
どの基準が採用されるかは今後決定されます。
給付が終了する年収は?
現在の制度案では、平均年収の約50%程度が一つの目安とされており、現在の水準では年収約270万円程度で給付が終了する案が示されています。
このため、「中低所得者向け」と説明されていますが、実際には比較的低所得者を対象とした制度となる可能性があります。
給付額はいくら?
給付額はまだ決まっていません。
政府は、恒久的な財源を確保したうえで給付額を決定するとしています。
対象となる所得
給付判定の対象となるのは、基本的に勤労所得です。
具体的には次のような所得が対象となります。
- 給与所得
- 個人事業主・フリーランスの事業所得
- 副業などの業務に関する雑所得
一方で、株式の譲渡益や配当などの金融所得は対象外となる方向です。
高齢者も対象になる?
年金受給者だから対象外というわけではありません。
税や社会保険料を差し引いた実質的な負担などを考慮し、一定の条件を満たす高齢者も対象となる可能性があります。
働けない人への支援
病気や障害などにより働けない方については、所得連動給付とは別に、給付金や社会保険料の軽減・免除などの制度で支援する方向となっています。
子育て世帯は給付が上乗せ
18歳以下の扶養している子どもの人数に応じて、給付額を加算する制度が予定されています。
ただし、加算額はまだ決まっていません。
実施時期
所得連動給付は2029年度(令和11年度)から導入される予定です。
手取りは増える?減る?
給付対象となる低所得者については、基本的に手取りが増える可能性があります。
一方で、給付対象外となる中高所得者については、制度の財源確保のために増税などが行われた場合、給付を受けられないまま負担だけが増え、結果として手取りが減少する可能性もあります。
新たな「年収の壁」が生まれる可能性
制度設計によっては、新たな年収の壁が生まれる可能性も指摘されています。
給付額が徐々に減少する区間では、収入が増えた以上に給付額が減ってしまうと、「これ以上働くと損をする」という状況が発生する可能性があります。
制度の趣旨である「働いた方が手取りが増える」を実現するためには、こうした新たな年収の壁を生まない制度設計が重要になります。
2027年度から食料品の消費税引下げも検討
所得連動給付が始まるまでのつなぎとして、2027年度から2年間、食料品の消費税率を1%へ引き下げる案も議論されています。
さらに残る1%分については現金給付で補うことで、実質的に食料品の消費税率をゼロにする案も検討されています。
ただし、この案は現時点では実施が決まったものではありません。
まとめ
所得連動給付は、中低所得者を支援する新しい制度として2029年度の導入が予定されています。
現時点では給付額や対象年収など、まだ決まっていない事項も多く残されています。
- 給付付き税額控除のうち、当面は税額控除がない「所得連動給付」となる予定
- 対象は主に勤労所得のある中低所得者
- 金融所得は原則対象外
- 子育て世帯には加算措置を予定
- 2029年度導入予定
- 制度設計次第では新たな年収の壁が生まれる可能性もある


