産業医の報酬に関する税務上の取り扱い

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産業医の報酬を給与所得として扱うべきか、事業所得や雑所得として申告できるか。この点は、医師の方から当社へ、非常に多く寄せられる相談事項の一つです。
というのも、事業所得や雑所得として申告できれば、その所得を得るためにかかった費用を経費として計上し、節税につながるためです。特に事業所得として申告することができれば、青色申告を行うことにより、青色申告特別控除を適用することができます。

この記事では、産業医報酬、勤務医としての保険診療の報酬、非常勤医師としての報酬などについて、どの所得区分に該当するのかを分かりやすく整理します。また、消費税や源泉徴収など、支払側への影響も含めて解説します。


勤務医が受け取る診療報酬は原則として給与所得

病院やクリニックなどの医療機関から受け取る診療行為に対する報酬は、原則として給与所得になります。多くの場合、医療機関と医師の間には雇用契約が存在すると判断されるためです。

雇用契約と判断される主な要素は以下の通りです。

  • 勤務時間・勤務場所が医療機関によって指定されている
  • 院長や理事長などの指揮命令を受けて業務を行う
  • 時給や日給など、時間に応じて報酬が決まる
項目 勤務医の一般的な扱い
契約形態 雇用契約と判断されやすい
勤務時間・場所 医療機関が指定
報酬の決定方法 時給・日給など
所得区分 給与所得
消費税 給与のため対象外

企業から直接支払われる産業医報酬も原則は給与所得

国税庁の質疑応答事例では、個人の医師が企業から直接受け取る産業医報酬は、給与所得に該当すると示されています。その理由は、勤務場所や勤務時間の拘束、時給・日給などでの報酬支払いといった、雇用契約の実態があるためです。

ケース 契約相手 報酬の性質 所得区分
企業と個人の医師の間での産業医の委託契約 企業 時給・日給など 給与所得

紹介会社・派遣会社を通じた産業医報酬は事業所得・雑所得の可能性

近年多いのが、紹介会社や産業医派遣会社を経由して産業医業務を行うケースです。この場合、紹介会社と医師の間で業務委託契約が結ばれることがあります。

その場合、医師が受け取る報酬は、事業所得または雑所得となる可能性があります。
国税庁の質疑応答事例では、医療法人がその勤務医を企業に派遣し、それによって得た収入は医療法人の医業収入になるとしていることから、個人の医師が仲介会社から受け取る報酬が、個人の収益と位置づけられる余地があるためです。

ケース 契約相手 契約内容 所得区分の可能性
紹介会社経由の産業医 紹介会社 業務委託契約 事業所得・雑所得の可能性

非常勤医師としての報酬は給与所得となるケースが多い

一方で、健診、人間ドック、当直など非常勤として、医療機関から直接支払われる報酬は、勤務時間の拘束や指揮命令が存在することから、給与所得と判断されるケースが多く見られます。

過去の裁判例でも、非常勤医師の報酬を給与所得と認定したケースが複数あります。


給与所得か業務委託か判断する際のチェックポイント

チェック項目 給与所得に該当しやすい状況 事業所得・雑所得に該当しやすい状況
勤務時間や場所 企業や医療機関による拘束あり 医師側の裁量で調整可能
指揮命令 業務内容について指示を受ける 実施方法は医師に任されている
報酬の決め方 時給・日給型 案件ごとの委託料
代替性 本人が行うことを前提 再委託可能な余地あり

形式ではなく実態によって判断されるため、契約書のタイトルよりも、働き方の内容が重要です。
よって、例えば医療機関から、診療行為や健診等ではなく、管理業務を依頼されている場合は、事業所得または雑所得となる可能性があります。


所得区分によって支払側にも影響がある

所得区分は受け取る側だけでなく、支払側にも影響を与えます。特に源泉所得税と消費税の取り扱いが大きく異なります。

区分 給与所得として扱う場合 業務委託として扱う場合
源泉徴収 給与として源泉徴収が必要 源泉徴収は不要(企業から紹介会社へ支払う報酬の場合)
消費税 対象外 課税仕入として仕入税額控除が可能
社会保険 勤務時間・日数によって加入義務あり 基本的になし

給与所得と事業所得の線引きは一律ではない

最終的には、働き方の実態を踏まえて総合的に判断されます。特に以下の場合は、事業所得または雑所得として扱える余地があります。

  • 紹介会社と業務委託契約を結んでいる
  • 医療機関から医療行為ではなく、管理を委託されている

一方で、税務署の判断とのズレがあると、税務調査で給与所得として再分類されるリスクもあります。節税とリスクのバランスを踏まえた対応が必要です。


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